葬式で楽しそうに談笑している親戚から言われた「あなたのことは自分の娘のように思ってるから」という助けるつもりのないカッコつけたいだけの言葉。見栄張りな親戚が知ったように語る母についての嘘情報。
弔いたいとか言って、集まって騒ぎたかっただけのママ友会。高校時代の同級生の母親から気遣わしげに「お母さんは苦しんで亡くなられたの?」と聞かれたこと。私は忘れない。
本当は怒りたかった。怒鳴りたかった。キレたかった。
でも怒ったら損をするだけだってわかってた。私が怒っている原因はいろんな奴らの無神経な言葉なのに、お母さんを亡くして取り乱してるんだとか、精神的に病んでるんだと思われて、ひそひそ憐れまれるだけだと思った。私の言葉が届くと思えなかった。それに、心配そうな顔を浮かべている大人たちが、悪意を持っているわけじゃないこともわかっていた。若い母親が亡くなるのが珍しくて好奇心が抑えられなかったり、残されたまだ学生の子供を見てヒーロー心が無責任に浮かんでしまっただけ。悪い人ではないと信じたかった。だから怒れずに脱力した。
当時は無神経な言葉に対して曖昧に笑うしかできなかった。
他の人に相談したら「悪気はないんだし」や「それくらい許してあげなよ」と言われた。怒る感情すら持ってはいけないような気分になって余計に辛くなった。怒る私がおかしいの?悪気ないことはわかってるけれど、だからってむかつくことすら許されないの?
周りの人は私にニコニコしていてほしいと言うけれど、私はそんな都合のいい子供じゃない。私の感情を無視しないで。人間として見てほしかった。
今でも不意に思い出しては悔しくて涙が出る。
どうしたら良かったのか、どうすれば良いのか、自分でもわからない。